ニューヨークで見る星座

この季節の夜空は、オリオンが頭上に輝き、双子座がよりそうように見えて、東南のパノラマが、とても美しい。しかし、ここはニューヨークの郊外、9時をすぎても、空はぼんやり明るく、そのおかげで、双子には両手両足が欠けていて、おおいぬ座は首から上が無い。

西南の空、ちょうどオリオンとペガススの大四辺形のあいだによこたわるあたり、そこには星が一つも見えない。月か惑星が、運良くそのあたりをかすめたときだけ、星空らしくなるニューヨーク一の不毛地帯だ。家の庭からはそちらの方面の空が一番開けているので、とても残念だと思う。

しかし、星が見えなければスターアトラスをたよればいい。この夜空に、心の目で、天の川が見える。いまその目が夜空を見つめている。オリオン座の下には、うさぎ座がある。耳の形がかわいらしい星座で、この鼻先から西に少しだけ目をうつすと、クリムゾンスターという十等星、全天でもっとも赤い星だ。

赤い星があると、青い星がきれいに見えるよ。ペテルギウスとリゲルはオリオンの右下がりの対角線。ガーネットスターとケフィウスの一番星。牡牛座のアルデバランとその背後の宝石をばらまいたような若い星団。しかし何よりも心の目の良いところは、この極寒の季節に、室内から星座がみえるところだ。