ロングアイランドは島か半島か?

ニューヨークの西側にあるロングアイランドが、マンハッタンを起点とする半島と考えるのか、イーストリバーにうかぶ巨大な島と考えるかは、いろいろ意見の分かれるところだが、アイランダーといわれる古くから言われる住民の感覚では、半島でもあり島でもあるというのが正直な気持ちであろう。

それはつまりこういうことだ。グランドセントラル駅から西に向かう地下鉄にのると、すぐにイーストリバーの地下のトンネルを通り、ロングアイランドに上陸するが、その地区はブルックリンとブロンクスで、生活圏としては最もニューヨークらしいところである。ここの食生活がNYのローカルフードであり、ここで喋られる言葉が代表的なニューヨークアクセントとなる。

したがって、ロングアイランドの西側をしめるこの地区は、ニューヨークシティそのものであり、そこの住民からみれば、ロングアイランド心理的にニューヨークと地続き、すなわち半島ということになる。

しかしここをすぎるとナッソー群とサフォーク群となるが、ここまでくると、イギリスから最初に入植した最も由緒正しいアメリカ人の祖先が、いわゆるオールドマネーと言われる大資金をつかって作った街々がとくに北側の海岸に並び、「華麗なるギャツビー」の舞台と言えばわかりやすいだろうが、そういう人たちが権力者として影響を持つものだから、俄然ニューヨークとは独立した島の風情が強くなる。

言葉もまるで舌を巻かないボストン風になり、食べ物も特にブルックリンのトマトたっぷりの赤主体の物から、クリームを多用した白主体のものに変わる。それと同様に、移民者も南米中米系の人が多くなり、同じラテン系でも、ヨーロッパ・ラテン系の多いニューヨークシティとはまるで異なる。だからロングアイランドの中東部に住む人にとっては、ここは紛れもなく島ということになろう。